企業がMBTIを使う理由:アメリカの職場研修
2026年8月25日公開2026年10月25日更新
執筆: DaonLabs
企業がMBTIを使うのは、主に研修ワークショップやチームの合宿です。切り出しにくいお互いの違いを、同僚どうしが気まずくならずに話せる言葉を与えてくれるからです。その場面は結果にも影響し、職場で配られた質問票には、人は違う答え方をします。
窓のないホテルの会議室。卓上名札、ワークブック、手慣れたファシリテーター。そして自分のデスクに戻りたがっている11人の同僚たち。午前11時には、参加者がアルファベットごとにグループ分けされています。隙を見せたことのない上司が看板の下に立ち、自分のグループは話を遮られるのが嫌いなのだと説明しています。
非常に多くのアメリカ人にとって、そこが4つのアルファベットとの出会いの場です。深夜のスマホでも雑誌でもありません。職場で、会社の時間を使って、バインダーから学ぶのです。
個人の職業選択を助けるために作られたものとしては奇妙な運命です。そうなった理由には、このツールが何に優れているかがよく表れています。
カウンセラーの部屋ではなく企業の会議室である理由
このツールは個人向けに設計されました。ところが実際に広まったのは組織向けの市場で、その理由は心理学とはほとんど関係ありません。
企業は繰り返し起こる問題を抱えています。一緒に働く人たちがお互いを理解できず、それについて話す適切な方法がないのです。あの同僚といると疲れる、と言えば個人への不満になり、人事の問題になります。自分とあの同僚は違うアルファベットで動いている、と言えば違いの話になり、研修のテーマになります。このツールは話しにくい話題を、たった一日の午後で話しやすいものに変えます。本当に価値のあるサービスです。
形式の面でも都合がいいのです。ワークショップには、グループ相手に実施でき、1時間で説明でき、昼食前の演習に使えるものが必要です。認定プラクティショナー、出版された教材、決まったプログラムなど、その周りには供給の仕組みがまるごと揃っています。キャリアカウンセラーが一度に向き合えるのは1人、ワークショップなら40人です。採算はまるで比べものになりません。
優れた研修商品となる理由
理由は3つあります。先に言っておくと、どれも小手先ではなく本当の強みです。
誰も損をしません。どの結果も、わざと強みを並べる形で書かれています。これはイザベル・ブリッグス・マイヤーズが最初の説明文を書いたときからの方針です。ツールの歴史を読めば、それが最初から組み込まれていた理由がわかります。参加者の4分の1に悪いプロフィールだと告げるようなツールは二度と買われません。それ以上に、その日の午後の空気を壊してしまいます。
1日で共通の語彙ができあがります。ワークショップのあとは、先週まで言えなかったことが会議で言えるようになります。「返事の前に文面で確認したい」「一晩考えさせてほしい」。こうした言葉は前からありましたが、角の立たない言い方を手に入れたのです。
そして、その場ですぐに確かな納得感が生まれます。その感覚は本物ですが、中身のない説明文でも同じ感覚は生まれます。どのタイプの説明も自分のことのように感じる理由はまさにその話で、ワークショップで何かが証明されたと考える前に読んでおくとよいでしょう。
4つ目の理由は、誰もパンフレットには書きません。この午後の時間は楽しいのです。自分のことを話し、別の階の同僚との共通点を見つけ、少し元気になって家に帰ります。従業員を明るい気分にさせる研修日は、金曜日までに内容が消えてしまっても、雇用主の狙いは果たしています。ワークショップとして見れば成功です。測定ツールとしては、そもそも誰も成果を問うていなかったのです。
場の空気が回答を変える
ここは、ほとんど誰も気にかけない点です。火曜日にオフィスで同僚に囲まれながら自分についての質問に答えるのは、一人で答えるのと同じ行為ではありません。
回答するのは職場の自分です。その場が引き出すのは仕事用の自分だからです。多くの人は、職場ではほかの場所とまったく違う振る舞いをします。より計画的に、より決断力を持って、より社交的に、より協調的に、それも意識してそうしていることが多いのです。質問票には、本来の好みと11年かけて身につけた仕事向けの振る舞いとの違いは見分けられません。
誰が見るのかという小さな問題もあります。結果が非公開でも、ほとんどの人は演習があることを知っています。グループが壁に貼り出されることも知っています。それを知っているだけで、こうありたい自分に寄せた回答へと、軽く背中を押されます。文字を1つ動かすのに、それほどの力は要りません。これが1日に2つの異なる結果が出る背景のひとつです。
つまりワークショップの結果は、雇用主の前で答えた職場での自分の姿です。無意味ではありません。しかし、誰も見ていないところで一人で得た結果と同じものでもありません。
発行元が引く一線と、それがどれほど越えられているか
このツールの提供元は、採用や選考に使ってはいけないと言っています。結果は本人に返して説明し、本人が異を唱えられる余地を残すべきだ、ともしています。自分のタイプを最終的に決めるのは本人だ、という考えからです。
実際には、アルファベットはチームの図表に書き込まれ、管理職に記憶されます。誰が何を主導すべきかという会話の中で言及されます。4つのアルファベットのコードに基づいて正式な決定を下す人はいません。それでも、いつの間にか評判にコードがくっついてしまった人に、誰でも一度は会ったことがあるはずです。職場という場ならではの落とし穴です。ツールがそうしているわけではありません。新しい言葉を覚えた大勢の人がそうしているのです。
職場の壁に自分の文字が貼られていても、ほとんど気にする必要はありませんし、そう口にしてかまいません。判定されたタイプに異を唱えることは、このツールの本来の使い方に含まれていることで、参加を拒むことではありません。
それがいちばんよくわかるのは、図表のその後です。ワークショップから半年後、壁のアルファベットはまだそこにありますが、語彙はほとんど消えています。残っているのは、特定の同僚に関するいくつかの具体的な事実だけです。会話の中で知ったことで、ワークショップがなくてもいずれ知っていたはずのことです。バインダーは引き出しの中です。
午後の時間の本当の価値
懐疑論者が認めるよりは大きく、ワークブックがほのめかすよりは小さいです。
ワークショップのあとまで残るのは、たいてい4つの文字ではありません。誰かが自分の働き方を声に出して説明し、同僚がそれを2年間ずっと無礼だと受け取っていたと気づく、そんな2、3の瞬間です。事前に議題が欲しい人。声に出して考えるので、最初に口にした意見が最終的な考えとは限らない人。会議では黙り込み、6時に素晴らしいメールを書く人。まさに会議で静かな人で書いたことです。
そうしたやり取りに、このツールそのものが必要だったわけではありません。必要だったのはきっかけとお墨付きで、ツールはその両方を与えました。控えめな言い分ですが、本当のことだと思います。
MBTIはThe Myers-Briggs Companyの商標であり、このサイトは同社とは関係ありません。個人で運営しており、心理学者でもありません。ホテルの会議室で質問票に答えて結果がしっくりこなかったなら、誰にも画面を見られない場所でもう一度受けてみてください。2つの結果が食い違うことはよくあります。2回目の答えは、たいてい仕事ではなく自分自身についてのものです。